日本 京都

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「どんな地雷を埋めて来たんだ?」 「えへっ。メフィストフェレスの眠り薬だよ」 「なるほど。あれか」 メフィストフェレスの眠り薬とは、ゲーテの戯曲にも出てくる、悪魔であるメフィストフェレスがファウストと契約をし、恋人に渡せと与えた薬のことである。 恋人のグレートヒェンはファウストと会うために、眠り薬と信じ実は毒薬を母親に飲ませて殺害してしまう。 狼歩がふうかに渡したのは、まさにその『メフィストフェレスの眠り薬』であった。 「ふうかちゃんは将来、それを旦那さんに飲ませると思う?」 「さあ、どうかな」 どちらとも答えず、狼歩は笑った。 「まったく、この悪魔め」 「君も、そして君もだろう?」 狼歩の言葉に、三人は顔を合わせて声を上げずに笑った。                                                     完
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