86人が本棚に入れています
本棚に追加
綺麗に立ち上がろうとしたけれど、うまくできなかった。
私はちょっとよろめいて狼歩さんの腕にすがってしまった。
狼歩さんの腕は筋肉で引き締まっているわ。きゃっ、どうしよう。ドキッとしたのを感づかれたかしら。
「大丈夫?」
「え、ええ」
私はドアと狼歩さんの腕につかまって、それでもちゃんと立つことができた。
うちの車より車高が高いんですもの。勝手がわからない。
「ここはね。獅子亭展望台、ライオンズテラスといいます。人が多いですが、ここから見る夜景が一番きれいだと言われているんですよ」
狼歩さんは、展望台のようなところへ連れて行ってくれた。
そこは崖から突き出たテラス状になっていて、中国模様の東屋風の差し掛けと手摺があったわ。
タイルは古びていたけれど、それはそれで風情があると思うの。
最初のコメントを投稿しよう!