86人が本棚に入れています
本棚に追加
「うわあきれい」
そこから見える夜景は本当に宝石箱をひっくり返したよう。メレダイヤを散りばめたようだわ。
私は視界全部を目に焼き付けようと、左から右へと眺めていった。
右に顔を向けたら狼歩さんの肩があって、こんなに近くにいたなんて、と思ってドキドキした。私ね。密かに狼歩さんのグリーン系の香りを吸い込んだの。
「少し前までこの街のど真ん中に空港があったんですよ。その頃は飛行機の離着陸の妨げになると、ネオンは瞬いてはいけないという航空法がありました。でもね」
狼歩さんが指さす先には、ネオンがキラキラと点滅していた。
「今は空港が郊外の島へと移転しましたから、ネオンの点滅は自由です」
「そうなの。きれいだわ」
最初のコメントを投稿しよう!