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「素敵な夜景ね」
私は前髪を風になぶられながら、飽きることなく光の洪水に見とれていた。
「ふうかさん。もっと素敵な夜景をお見せしますよ」
「えっ?もっと?」
これより素敵な夜景があるのかしら。
「ええ。僕らのためだけの夜景です」
それってどういう事かしら。私には想像もできないわ。
狼歩さんは車へ戻った。また私のために助手席のドアを開けてくれる。
「いいですか?ちゃんとシートベルトをしました?」
「はい」
今度はちゃんと自分でできた。でもやっぱり最初にベルトがぎゅっと締め付けるのには慣れないかな。
「いいですか?こちらでは『親の仇のように走る』という言葉があります」
「親の仇を討つ、じゃなくて?」
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