香港 ヴィクトリア・ピーク

13/13
前へ
/205ページ
次へ
「少しだけ」 「そうですか。ではね。ちょっと目を閉じて」 え? また? でもこれは夢の中の出来事ですものね、と思い私は目を閉じた。 車の窓は閉まっていたから外の喧騒は聞こえてこないけれど、賑やかな街中を走っているのはわかったわ。 「はい、目を開けて」 あら。外は明るいわ。さっきまで夜だったのに。朝?それとも昼? 賑やかな街はどこへ行ったのやら、車はのどかな自然の木々の間をゆるやかに走っていたの。 「ここはどこ?」 「あそこを見て」 狼歩さんは窓を下げてくれた。光と外気が一気に車内に入ってきた。
/205ページ

最初のコメントを投稿しよう!

86人が本棚に入れています
本棚に追加