フランス パリ エッフェル塔

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「知ってます。ふうかさんが働いている病院の院長先生でしょ」 「どうして知ってるの?」 「そりゃ僕はなんでも」 また狼歩さんは笑った。眼尻にちょっと魅力的な皺が寄ったわ。 「でもふうかさんは自分の想いを彼に伝えてないんでしょ?」 「ええ」 「彼はね、知ってますよ」 えっ?私の気持ちは、一番の友達にも話したことはないのよ。院長先生は私の気持ちに気づいていないと思うけれど。 院長先生は、私が事務員として働いている医院の心療内科の先生だから、人の気持ちがわかる人なの。 もしかして私のことを好きなのかしら、なんて思うことがあるけれど、それは気のせいだと思うことにして、一生懸命気持ちを抑えようと努力しているのよ。
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