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狼歩さんはポケットを探している。バカね。ハンカチは私のお尻の下よ。
私は自分のバッグからハンカチを取り出すと、顏に押し当てたの。
その時、ふわり、と狼歩さんが私の肩を抱いてくれた。
優しく抱き寄せ、私の頭を肩に持たれかけさせてくれた。こんなこと、私は生まれて初めてだわ。
こんなに優しく肩を抱かれたのも、男の人の前でこんな風に泣いたのも。
本当に、ここで泣いていてもいいの?ありがとう。今だけ、少しだけ肩を貸してね。
「ごめん。ちょっと言い過ぎました」
狼歩さんはすまなそうに言った。
でもそれは本当のことなんですもの。狼歩さんに謝ってほしくないわ。
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