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そうなのよ。私はパパに大変なことを望んでいるわけじゃないのよ。ただ穏やかに相手を思いやって、笑いあう家庭を作りたいだけなの。
それはわがままな望みなの?私は贅沢を言っているの?
周りにはたくさんの人がいたけれど、私は泣きやむことができなかった。
どのくらいの時間かしら。私は泣き続けていた。
そのうち辺りはすっかり暗くなって、エッフェル塔に火が灯ったわ。
広場には人が集まってきて、中には持参のスピーカーでロマンチックな音楽を流し、踊り始めている人もいるわ。
私は狼歩さんに肩を抱かれながら、ぼんやりとエッフェル塔の光を見つめていたの。
「さあ、もう少し近くに行きましょう」
狼歩さんは立ち上がると、私の手を取った。
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