ふうか、夢のデート

フランス パリ エッフェル塔

「綺麗綺麗。素敵だわ」

今まで泣いていたことも忘れて、私は眩い光が零れ落ちているように見えるエッフェル塔に見入った。

「シャンパンフラッシュというんですよ」

本当。シャンパンの泡みたいに金色の光がキラキラ輝いている。手前の噴水も大きなしぶきを上げている。

ところどころの紫色のライトも素敵。

ため息がでるわ。ずっと見ていたい。

でもその光はいつまでも続かなかったの。

ほんの10秒くらいかしら。突然金色の光が落ち、エッフェル塔は元のオレンジ色に戻った。

素敵な時間は永遠ではないのね。私は大きく息を吐いた。

もう泣くのはよそう。涙はすべてハンカチでふき取りましょう。

まだはっきりと自分の気持ちは決まっていなかったけれど、逃げていてはいけないんだ、と私は考えていた。