イタリア ローマ スペイン広場

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「映画でははっきりとわからないんですよ。おそらくこれだろうといわれているのが、クレマ・アラ・バニーリアです」 私はそうなの、と答えながら待ちきれずに、店先でぱくっとジェラートを口に入れた。 その途端、濃厚なチョコレートとバニラの味が口いっぱいに広がった。 「美味しい」 「美味しいでしょ?」 私たちは顔を見合わせて笑った。 何だか私、きゅんとした。こんなデート、パパとしたことはなかったんですもの。 パパは一緒に出かけてもどんどん先に歩いて行っちゃう。私がおしゃれをしてヒールの高いパンプスを履いて、足が痛くてもお構いなし。 狼歩さんはそんなことしない。そう思ったらちょっと寂しくなった。 「どうしました?美味しくなかった?」 「ううん。すごく美味しい。でもちょっと冷たいかな」
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