イタリア ローマ スペイン広場

5/10
前へ
/205ページ
次へ
「歯に沁みたとか?」 「ううん」 パパ。パパはどうして私に優しくしてくれないのかな。私のことを好きなのかな。大事に思ってくれていないのかな。 私は胸をそっと抑えた。 「ゆっくり食べてくださいね」 「ありがとう」 狼歩さん、あなたの優しさは私を泣かせるわ。 しばらく私たちは黙ってジェラートを満喫した。 本当は狼歩さんの食べているミルクも味わいたかったけれど、「一口ちょうだい」なんてお願いするようなお行儀の悪いことはできなかった。 うーん。でもちょっと食べてみたかったな。   「では」 あら?立ち上がった狼歩さんは、ツイードのちょっと大きめなスーツを着ているわ。
/205ページ

最初のコメントを投稿しよう!

86人が本棚に入れています
本棚に追加