イタリア ローマ スペイン広場

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「ふうかさん」 「はい?」 「さっきから旦那さんのことを考えてるでしょ」 ドキッとした。どうしてわかったのかしら。 「このデートの間だけは、楽しいことだけ考えてくださいね」 私は狼歩さんの背中で唇をかみ、気づかれないように背中に頬を押し付けた。 「では行きますよ」 「はい」 ベスパはイタリアの石畳の道を軽快に走る。 たまに石畳の上を走るとバウンドするけれど、私は怖いふりをして狼歩さんにしがみついた。 「あれがコロッセオ」「見て。トレヴィの泉です」 狼歩さんは有名な建物の隣を走ると、指さしながら私に教えてくれる。 イタリアの空は澄んで抜けるようで、私の大好きなスカイブルー色だった。
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