ベトナム ホイアン

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そんなものはいらないと言ったのに、父は「お前も大人だ。いい物を持ってもばちは当たらないだろう」と言って買ってくれたのよね。 今考えると、無理をしたんだろうな。お金持ちの人から見たら大したことのないものかもしれないけれど、あの時計は私の宝物。 ううん、金額じゃなくて、両親が買ってくれたということに価値があるのよ。 両親は私を溺愛してくれた。私がやりたいということに反対されたこともないし、我儘を言ってもすべて聞き入れてくれたわ。 パパと結婚すると言った時、ちょっとびっくりしたけれど「ふうかが良いと言うのなら」と祝福してくれたわね。 その後、あちらの両親と顔合わせをした時に、父と母は嫌な思いをしたんだったわ。 パパの両親はとってもお金持ちで、普通の家庭の私を下に見ているところがある。今思えば、どうして見抜けなかったのかしら。
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