ベトナム ホイアン

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私が素敵なカップを欲しくても、節約のために百円均一の店のもので我慢していたのを知っている? 化粧品が欲しくてもお金がもったいないから、店で試供品をもらってきて使っているのを知っている? この3年間、新しいスカートを買ったことがないのを知ってる? 私は下唇を噛んだ。 「ふうかさん?」 え?ああそうだわ。私は眼の前の狼歩さんと楽しいデート中だった。つまらないことを思い出したわ。 「時計、忘れちゃいましたね」 狼歩さんは見ていたんだわ。ええ、私は頷いた。 「ちょっと左手を貸して」 狼歩さんはいたずらっぽい笑みを浮かべ、私の腕を取った。何をするの? 「はい」 なにこれ?私の左手首にぺたりと貼られたのは、腕時計が描かれたシールだった。
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