ベトナム ホイアン

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「本当だわ。なぜかしら。知らず知らずのうちに映画やドラマでこんな風景を見ているからじゃないかしら。あっ」 私は思い出した。 「千と千尋の神隠しね」 「正解です」 狼歩さんは人差し指を立てて、ウインクをした。 私はそのいたずらっぽい表情を見て、またドキッとした。 最初に会った時は、私はこの得体のしれない人に警戒心を持っていたけれど、今はまったくそんなことは思わない。 この人の前では私は、緊張も不安も感じないでいられるのは不思議。 狼歩さんといると、素直な私でいられるような気がする。そして、私はそんな自分が好きなの。 どうしよう。私、この人を好きになっちゃうかも。 「あ、危ない」 そんなことをぼんやり考えていたら、私は突然狼歩さんに抱き寄せられた。
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