アラブ首長国連邦 ドバイ バージカリファ

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そこは展望台で、360度のガラス張りの窓からは砂漠や海が見えた。 ここまで来るのにはかなりの料金を支払なわなければならないみたい。そのせいかしら、フロアにはあまり人がいなかった。 一番いい景色に向かって、背の高いソファがいくつか置かれている。 背が高いから誰がすわっているかはわからない。カップルが並んで景色を楽しむのには最適なソファね。 「ふうかさん、ここに座って」 「はい」 狼歩さんは私の右頬に触れた。きゃあ。なあに? 「動かないで」 どうしよう。ドキドキするわ。 「目を閉じて」 何だかさっきから命令口調ね。でもちっとも嫌じゃない。私は眼を閉じたの。 でもね。口元はアバヤ、黒い布で覆われているのよ。どうするの? 左手を私の頬に当てながら、狼歩さんの右手が近づいて来る気配がした。
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