アラブ首長国連邦 ドバイ バージカリファ

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「動かないでくださいね」 「はい」 何をしているの?狼歩さんは、私の目元に何か書いている? 「ちょっと待ってくださいね。えっと。難しいな」 しばらく狼歩さんは悪戦苦闘していたけれど、やっと私の右目から手を離した。 「あは」 「なあに?」 狼歩さんは笑うのを堪えていた。もしかしたら。 「左目にもアイラインを入れましょう」 失礼しちゃうわ。私の片目にだけアイラインを入れて笑っているのね? ちょっと右手が震えているみたいだけれど、これは笑いながらだからなんでしょ。 「アバヤの目元は、濃いくらいでちょうどいいんです」 狼歩さんは手鏡を見せてくれた。あら、すごい。私の眼にはくっきりと、エジプト女王さまの様にアイラインが入れられていた。
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