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「お飲み物はいかがですか?」
流ちょうな日本語。私が顔を上げると、とってもきれいな少年が立っていた。
アラビアの少年かしら。目元がくっきりとしていて肌が浅黒くて、まだ青年になる前のかわいらしい子だわ。
私たちって、この地の扮装をしているけれど、日本人だってわかるのかしら。
「えっと」
私がメニューを覗き込もうとしたら、狼歩さんが遮った。
「そうだな。オレンジジュースとコーヒーを」
ちょっと!狼歩さんったら自分勝手に注文しちゃった。失礼じゃない?
「かしこまりました」
少年は丁寧にお辞儀をして去って行った。
「ごめんなさい。郷に入れば郷に従え、でしたっけ?男性は女性のために、すべてを決めるんです」
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