目眩

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先ほどのお開きかと思えた状況からこの展開に持っていくあたり、やはり手慣れている印象だ、何もせずして終いという結末は端から存在しないのかも知れない。 ある種覚悟のような物を決めて膝を降り、アタシは例にならって一樹の下だけを脱がせ拙いながらも尽くした。 「栞ちゃん、こっち見て…」 視線を送るとそれは更に存在感を増した、元彼と同等、いや、それ以上か。 そして誘導されるまま再び対面で跨がった。 …が、サイズのせいか怖じ気付いてか先端を少し埋めただけで詰まってしまった。 「ゆっくり慣らすから俺に任せて。そう深呼吸して…力抜いて…」 一樹はアタシの呼吸に合わせてゆっくり時間をかけ徐々に埋めていった、悔しいがこれがとても堪らない気持ちにさせた。 そして揺れ始める車体。 体位上アタシからはリアガラスの向こうが見える、それに加え天井に頭がぶつかりそうで気が気じゃない。 そうしたら案の定頭がぶつかった、痛くはなかったがアタシの気は完全に削がれてしまった。 「ごめん、暴走してた。大丈夫?」 ぶつけた箇所に手を遣り心配している素振りを見せつつも、一樹は照れ臭そうに続けていいかと訊いてきた、このままでは収まりがつかないのだろう。 だから仕方なく、と言っては聞こえが悪いが体位を変え続ける事にした。 けれどやはり、ただでさえ気が削がれた状態で後背位となると、それの為だけのモノ扱いされているようでより一層冷めた、早く終わらないだろうかとさえ思ってしまった。 だから程なくして、もう達しそうだと告げられた時には正直ホッとした。 でも次の瞬間、何処に出して欲しいかと訊かれ困惑した、そんな事訊かれたのも初めてだからだ。 あまり無いであろう時間の中、浅い知識を巡らせ考えた、車中で着衣のまま事に及んだ場合は何処と答えるのが正解だ? 「………ぁ、じゃあ口に…」 言わずもがな即座に後悔した、アタシは何を口走っているのだと。 でも一樹は、第一声驚いたような声を上げはしたがクスッと笑い了承した。 そしてその瞬間まさしく目と鼻の先だ、アタシは目のやり場に困りながらも餌を待つ雛鳥の如くそれを受け止めた、まるでAVの世界だ。 そうだからアタシ自身は達しはしなかったけれど、ある意味貴重な体験ができたし、そもそも元彼とのSEXでも達した事はなかったから、襤褸が出ずに済んで良かったという所だ。
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