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そして濡れた髪に指を潜り込ませ、匂いを嗅ぐ犬の如くスンスンと首筋に鼻を這わせたかと思うと、そのままで囁いた。
「本当はご飯食べに行くつもりだったんだけど…このまま部屋に直行してもいい?」
そうなる事を予測していなかった訳じゃないから、クスリと笑って頷いた。
部屋に入るなりキスをしながら縺れ合うように服を脱がせ合った、清人は夜勤で急ぐ必要などないのに気が逸る。
昨日の今日で快感を覚えている身体は軽く触れ合っただけで直ぐ様反応した、だから一樹も焦らすことなく奥まで入ってきた。
そしてアタシの手を取り二人が繋がっている処へと導くと、そこにあてがったままでゆっくりと突き動かし始めた。
「触ってて…」
指の間を往き来するリアルな卑猥さに身体が更なる反応をみせると、一樹の口からも堪らなそうな熱い吐息が漏れた。
「栞…俺のもんにしたい」
「もうしてるじゃん」
「違う、もう他の野郎じゃダメだって…もう俺じゃなきゃダメだってくらい俺のもんにしたい」
心が震えるほど嬉しかった、この先の一樹ではない誰かとの未来など要らないと思った。
「いいよ…一樹のもんにして…」
ふと目を覚ました時に、自分が一樹の胸に抱かれ眠っていた事に少し驚いた。
あの夜以来、息が吹き掛かるほどの至近距離に嫌悪を感じ、こんな風に密着して眠る事などなかったからだ。
なのに今は、寝息すら愛しく思えるほどに心地好さを感じている。
その寝息に誘われ再び眠りに落ちようとした時、おい!と身体を揺さぶられてアタシはビクッと目を覚ました、なんとそこには清人が立っていた。
一樹からは送り迎えを条件に車を借りたから、連絡があったら迎えに行かなければいけないとは聞いていた、だから行為の後直ぐに出られるよう服を着てからまったりしていたんだ。
でもさすがに幾ら服を着ているからといって、この状況で何も無かったなどという言い逃れは苦しいかも知れない。
寝起きでまだボーッとしている体を装いながら、おかえりと声を掛け上体を起こすと、その反動で目を覚ましたのか一樹が甘えるように腰にしがみ付いてきた。
「んん…栞?…どこ行くの?」
「…清人帰って来てるよ」
「ん?……あぁ…悪い、寝てた。電話くれた?」
今更離れても遅いと思ったか二人の関係を話してあるのか、一樹は腰に抱き付いたまま寝ぼけた様子で清人を見上げた。
清人はあきらかに苛立った表情をしている。
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