第1章

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暑さで目が覚めた。 自分の部屋ではないことに気づいて、寝ぼけた頭を働かせ昨晩のことを思い出す。 「ゆみ起きた?仕事行ってくる。」 「んー…、いってらっしゃい…。」 重い瞼を開けると、もう彼は私に背中を向けていてふと夢から覚めた気分になる。 扉がバタンと閉まる音がして、枕元にある携帯に手を伸ばす。 「充電器、持って来ればよかったな…」 クーラーをつけて、シャワーを浴びる。 もう何度も来ているはずの彼の部屋には私の居場所なんて無くて、財布と携帯だけ入った鞄を持って部屋を出た。 陽は昇ったばかりなのに、もう痛いくらいに私のことを照りつけた。
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