第1章

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松木とは高3の時に同じクラスになって、ほとんど話したことはなかったけど、彼が私を好きだというのはクラスの人のほとんどが知っていた。 松木は決してかっこよくはないが、たしか運動部の部長をしていて、友達も多かった。 でも彼から直接気持ちを伝えられることはなく卒業したし、私は彼に対して何の関心も持っていなかった。 そんな彼が変わったのは、卒業して一ヶ月経った頃。 友達伝いに私の連絡先を手に入れ、執拗に連絡してくるようになった。 はじめは少しめんどくさいな、くらいにしか思ってなかったけど、松木からのアプローチは日に日に酷くなっていった。 バイト中にふと店の外を見ると自転車に乗った松木が、ガラスの向こうで私をジッと見ていたこともあった。 そんな彼からの好意に、私は少し恐怖心を持つようになったんだ。
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