第1章

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その日、俺はことごとく桜木に避け続けられ、 ようやく彼を捕まえることができたのは、体育の後の更衣室の中でだった。 授業中、すれ違い様、着替えの後に更衣室で待っている様に伝え、「意味、わかるよね」と、念を推すと観念したような表情を見せた。 返事は無かったが、きっと桜木は教室に戻らず、このまま更衣室に残るだろう。 「彰、俺先いくぞー」 真にそう告げられ、おう、と返事をし、桜木を見やると、数日前にも見た、今にも泣き出しそうな顔をしていた。
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