第1章

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「ありがとう。面と向かって、そんなこと言われたの、初めてだ」 「いや・・・俺こそ、なんかでしゃばって、知ったような口聞いちゃって、ごめん。えっと、じゃあ俺そろそろいくね」 もう少し話していたかったが、桜木はそのまま逃げるように更衣室を出て行ってしまった。 「あー、俺のバカ。いきなりキスとか、何考えてんだよ」 自分の取った行動が、軽率だったことはわかる。 だけど、桜木という人間に、近づきたいと思った。 桜木の唇、柔らかかったな。 このとき、俺は、桜木という存在が、自分の中で大きくなっていることに、とっくに気づいていた。
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