第2章

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キスをしながら、桜木の腰に回した手に、力を込める。 止まらない。 「んっ、か・・んだく・・ふっ」 服の裾をくいっと引っ張られ、我に返る。 「・・・ごめん、嫌だった?」 桜木は静かに首を横に振る。 「や・・じゃない・・っ」 この目だ。 桜木の瞳は、不思議だ。この瞳を見ていると、まるで金縛りにでもあったかのように何も考えられなくなる。 怯えるようでも、こびるようでもない、ただひたむきな桜木の眼差しが、自分に向けられているのが、こんなにも心地いい。
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