第2章

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自分は、もう少し余裕のある人間のはずだった。 いつだって、自分を客観的に見つめられるよう、冷静であるということを大事にしてきた。 人と接するときはそれなりに明るく振る舞い、軽口を叩いたりもするが、一定の距離を保ち、それ以上踏み込ませない。 人と深く関わることは、俺にとってかなり面倒なことで、何かあるたびに、笑顔を取り繕い、やり過ごしていた。 笑顔で人と接していても、その実心の中は空っぽ、無関心の塊だった。 だから、簡単に人に心を許さないし、考えなしに、行動するなんてことは滅多にない。 後で後悔しないように、自分の置かれた状況、周りの人間の立ち居振る舞い、その他もろもろ、じっくり考えてから行動する。
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