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「真」
「おう、おはよう」
にこりと微笑む真に、先ほどの違和感は感じられない。
何だ、俺の気のせいか。
「さっき桜木に何プレゼントされてた?」
「プレゼント?ああ、プレゼントじゃなくて、借り物。DVD借りた」
「へぇ。物の貸し借りするほど仲良かったっけ?」
いつもの真と違い、随分話を掘り下げてくる。
「あー、最近仲良いんだよ。今度一緒に出掛けるし」
「ふーん、出掛けるんだ」
「あれ?ひょっとして真くん、桜木クンのこと気になっちゃってる感じ?」
ふざけて軽口を叩いたつもりだが、真はそのまま押し黙り、そうだよ、とでも言うように真顔で俺を見つめてきた。
妙な間が空き、まるで俺がつまらないギャグを言ってダダ滑りをしたかのような雰囲気が漂う。
「真…?」
俺の声に焦りがにじみ出ていたのか、真はぷっと吹き出すと、「何焦ってんだよ、冗談だよばーか。俺は女の子が好き」と言い、俺の額を小突く。
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