第2章

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「ただ彰が交友関係広げるの、珍しいと思っただけだよ。彰はいつも広く浅くだからさ」 「何だよ、一瞬本気にしたろ」 「たまにはからかわれるのも退屈なのよりましだろ?」 「まぁ…って俺はからかわれるより、からかう方がいいわ」 それに、最近は前より退屈じゃない。学校へきて、桜木と顔を合わせるだけで、胸が躍る。 「なんか俺、最近学校楽しいんだよね」 そう言うと、真が頭を振りながら両手をこちらにむけ拒否反応を示す。 「あー、駄目だ。やっぱり俺彰から学校楽しいって単語出ると熱でもあるんじゃないかって心配になる」 「何だよ、俺真の中でどんだけ学校嫌いなやつなんだよ」 「だって、昔からそんな感じだっただろ。口にはしてなかったけど」 「まぁ、退屈はしてたけど…真がいたから、ましだった」 真は一瞬不意を突かれたように驚いた顔をしたが、すぐに「俺って彰にとって結構重要なんだ?」など軽口を叩きおどけてみせた。 確かに、いつからか真はいて当たり前の存在になっている。 他人とは一線引いて深く関わりを持たない俺が、唯一心を許して接したのは、多分真だけだ。 「いつもありがとう、真」 両手を広げ抱き着こうとすると、真は咄嗟に身を翻し、「お前ほんとにいつもと様子が違うぞ」と言いながら、俺から逃げていく。
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