第2章

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いつもと様子が違う、それは自分でも自覚している。 俺たちのやり取りを見ていたのか、桜木がこちらを見て、笑みを浮かべているのに気づく。 桜木の優しい眼差しに、急に気恥ずかしくなる。 そんな風に見つめられると、また勘違いしちゃうよ、俺。 その日の放課後、帰ろうとする桜木を呼び止め、今度の休みのことについて話を切り出す。 「桜木クン、今度の休み、電車で遠出しようよ。どこか行きたいところある?」 「えっと…海を見に行きたい、かも」 「海?いいね!さすがに今の時期は泳げないけど、夕陽とか眺めてまったりしようか」 秋のこの時期に海に行くのも悪くない、そう思いテンションの上がった俺は待ち合わせ場所や時間などを決め、あっという間に約束を取り付けた。 桜木も、口数は少なかったが嬉しそうにしてくれていた。 なんか、いいな。こういう感じ。
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