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「ふーん、つまり相手の子は彰が自分のことを好きな訳じゃなくて、恋に恋してるだけって思ってるんだ?」
「簡単に言うとね。つか、真とこんな話するの、なんか気恥ずかしい」
好きな相手のことをこんな風に話題にするなんて、初めてだ。
いつも浮ついた話題は出ないし、出たとしても、付き合った、別れた、という報告だけで終わる。
まさか現在進行形で真に話をするなんて、思ってもみなかった。
「俺、なんか新鮮だわ。彰のそういう顔、中々見れないからさ」
真は口元を緩め、意地わるそうににやにやと笑う。
「あー、もうこの話やめやめ」
「照れんなよ。本気で好きになったんだろ?」
「こんな風に思える相手は、初めてかも。いつも好きだって言い寄ってくるのは、俺の上辺だけしか見てない奴だけど、その子は、違って。俺の中身を見てくれてるというか…。単純に一緒にいたいって、思う」
「…そっか、伝わるといいな、その子に」
「さんきゅ。つか真こそどうなんだよ。俺、お前の浮ついた話あまり聞かないんだけど」
「俺は彰と違ってモテないからさ、悲しいことに」
「中学生の時よく告白されてただろ?」
「それこそ、上辺だけの女だよ」
「まぁ俺の話は置いといて、彰もあんま一人で抱え込まないで、煮詰まったら俺に話せよ。滅多に人に相談とかしないだろうけどさ」
そう言うと、真はぽんぽんと俺の頭を軽く撫でる。
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