第2章

43/50
前へ
/76ページ
次へ
「おい、子供じゃねぇぞ」 「ごめんごめん、じゃあまた明日な」 家の玄関へと入っていく真を見送り、ふと、今日は少し喋りすぎたなと一人反省をする。 いつもは何も聞いてこない真が気になるほど、自分の表情がゆるゆるなのか、と頬をつまんでみる。 今日真と話してみて、誰かに自分のことを深く話すのは、弱みを見せるようで苦手なはずの俺が、桜木のことは、つい話したくなる自分がいることに気づいた。 真に話しながら、心のどこかで、好きな人の話ができて嬉しいと感じていた。 今日は制御できたが、そのうち真に、桜木のこういう所が可愛い、とかふとした拍子に話してしまいそうだ。 真なら、俺の相手が男の桜木であってもそのまま受け入れてくれるだろうが、桜木が周りに知られないようにしているのなら、真にも知られる訳にはいかないだろう。
/76ページ

最初のコメントを投稿しよう!

83人が本棚に入れています
本棚に追加