びしょ濡れの女

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   釣り場に着く頃には、雨もいつに間にか止んでいた。皆んな突然の雨で驚いたらしいが、なんとか雨をしのいだそうだ。僕は一応おかみさんから借りた折りたたみ傘を皆んなに配ることにした。  しばらく釣りを楽しみ、魚がいっぱいになりそうだったので別の空バケツを使用するため、僕は少し水を入れるために階段を少し上がった所にある洗い場へと向かった。  洗い場に着き、蛇口をひねろうとした瞬間、またも突然のどしゃ降りにみまわれた。降るにしても突然すぎな今日天気にため息を一つ。蛇口をひねって顔を上げようとすると、誰かが自分の前に立ってる。 仲間が来てくれたのかと思ったが、そいつは素足でスカートをはいているのがわかった。女だろう。しかし、服はびしょ濡れで傘をさしていない様子だ。  怖くなり、顔を恐る恐る上げていくと、白い服だったのだろうか、服の半分は血のように赤く染まっている。・・・・僕は嫌なことを考えてしまった。このどしゃ降りのシチェーションに女性、血のように赤く染まった白い服、あの時の事故で死んでしまったびしょ濡れの女性が脳裏に現れた。まさか。そんな。  顔を上げ見てみると、目をカッと見開いた歯は血で真っ赤になった女が立っていた。  僕は恐怖で動けなくなった。その女は、あの時のように不気味な笑みを浮かべ、僕目掛け突進してきた。 「うわぁァァァァァァァァァ―――――――ッ!!!!」 終
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