夏休みに入って②

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昼1時を過ぎて、練習を再開する前に 伊達メガネ先生に提案しておいた。 「伊達先生。昼からは全体の流れを しっかり確認したいので、昼からは ナル君の代わりにわたしが演っても 良いでしょうか?」 流れを確認するだけなら、 ナル君でなくても問題ないはずだ。 他の人は問題ない。ナル君だけだ。 「そんな事言ってもな~」と 伊達メガネ先生は拒否をしそうな 気配を感じた。だから、使う。 【IRRESISTIBLEMENT】! 「…まぁ、流れを確認するだけだし、 ナル君にはセリフを覚えてもらわないと いけないから、今日は仕方ないか…」 わたしの<タレント>である【IRRESISTIBLEMENT】の能力は、 「目が合った相手をわたしの 言いなりにしてしまう力」を持っている。 たかが凶師(きょうし)と言えども 凄腕の<タレント>を持っていると 聞いてはいるが、不意に使えば 避けられるはずはない。 日本語で「あなたの虜」と名付けた 能力は、思い通りにならない人を 操る場合に隙を狙って使う。 勘づかれた事は皆無である。 能力は「力」じゃあない。使い方次第だ。
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