夏休みに入って②

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「メメタァッ!」 突然聞いた事もないような奇声を あげたのは、それまで静かに劇を 見ていたきゃりーちゃんだった。 きゃりーちゃんは、衣装デザインの担当で 「劇に使う衣装のイメージが沸かないから」 という理由で、サクラちゃんや 伊達メガネ先生と共に劇の進行を見ていた。 「きゃ、きゃりーちゃん!? 突然奇声をあげて、どしたの!?」 「あー。ようやく来たようだねー」 こういう事には慣れているのか、 冷静に言い放つのは、中田君だった。 きゃりーちゃんとは気が合うみたいで お昼の時間や、放課後などよく一緒に 居る所を目撃していたくらい仲が良い。 「な、何が『来た』の!?」 「あー、衣装デザインだよー。 きゃりーは『何かが降りてくる』って 表現したら良いのかなー デザインを思い付くと 『メメタァ』って言うんだよー」 きゃりーちゃんに目をやれば ドシュゥッ!ドシュゥッ! ドビュッシューッ!! と聞いた事も無いような音を立てて 持っていたスケッチブックにペンを 走らせている。 勢いは留まる事を知らないように 淀みなく動き続けている。
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