変わらぬ風景

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それだけ言うと研究者は腰を上げ、部下らしい男達に向かって声をかける。 「サッサとボートに乗せちゃって、無線誘導は大丈夫なのだろうね? さっきのように途中でボートがひっくり返るなんて御免だよ」 鼻以外の場所、目や歯茎、肛門などからも出血が始まり、譫言のように助けを求め続ける学生を、防護服を着た2人の男が波打ち際まで引きずり、ボートに放り込む。 放り込んだ男の1人が相棒に声をかける。 「早く終わらせないと」 「ああ、あと4人片付けなければならないからな」 学生を乗せたボートは無線誘導で放射能の汚染が酷過ぎ、人間が立ち入る事ができない中の島に向かって走り始めた。
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