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泣きながら腫瘍の男に縋る学生を、研究者らしい宇宙服姿の男が覗き込む。
学生がそれに気が付き、宇宙服姿の男に縋りつくように声をかける。
「あなた達は帝都の人間でしょ!?助けて下さい! 」
宇宙服姿の男は、マイクのスイッチらしい物を操作して腰を屈め彼に話しかけた。
「私は帝都大出身で帝都にある研究所から派遣された研究員だが、元々の出身はこの地方なのだよ。
帝都出身の研究者が、放射能に汚染されたこんな辺鄙な所に来る訳がないだろう。
中の島には君のお仲間が数十万人以上いるから大丈夫だよ。
まあ…………皆、死んでいるが。
ハハハハハハ」
「こんなこと、こんなことが許される訳がない!!お前達全員逮捕され死刑にされてしまえ! 」
「ああ…………それも大丈夫。
私の帝都大時代の友人に、次の総統に指名されている方の子息がいてね。
彼が教えてくれたのだけど、中央政府の上層部はこの事を知っているらしいよ。
帝都の中央政府に表だって逆らわず機密を漏らさず、こういう形で中央政府に対する恨み辛らみの鬱憤を晴らす事ができるのなら、帝都の下級市民が年1万人位犠牲になっても構わないとの事だ」
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