変わらぬ風景

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「そんな…………何とか、何とか助けて貰えませんか?」 「んー、無理だね、君、湖の水飲んだだろう、それに1時間以上水に浸かっていたから。 湖の水には、私が今着用している放射線防護服を着ていても触りたく無い程の放射能が溶け込んでいる。 それ程の放射能を身体に取り込み、浸かっていたから直ぐに鼻以外の粘膜からも出血が始まり、2~3時間で大小の便を垂れ流し意識が無くなるよ。 どのみち直ぐにクタバル事ができるから。 苦しむのもチョットの間だけだ」 そう言うと男は学生から顔をそらし湖の方を見ながら話しを続ける。 「良い景色だろ、1億年の昔から殆ど変わらぬ風景だ。 この湖(うみ)には、2億年の歳月の間この湖(うみ)で独自に進化した生物相があり、私ら中の島人には文字通り母なる湖(うみ)だったのさ。 それが今では独自に進化した湖(うみ)の生物は絶滅し、放射能による奇形の生物しか見あたらなくなってしまった」
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