―そこに棲まうモノ―

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「坂田さん家って、何教?」 「はい!?」 何を言い出すのか内心ドキドキしていた私は、予想外の真次くんの質問に、素っ頓狂な声を上げてしまった。 ――なに? 真次君って、宗教の人なの? 思わず身構えれば、 そんな私の心の内を知ってか知らずか、真次くんが真剣な眼差しをむけてくる。 「あ、仏教だけど……、宗派は、なんだっけかな?」 答える言葉も、しどろもどろになってしまう。 「何かあったら、その宗派の念仏を唱えな」 はい!? 念仏って、ナムアミダブツとか言うあれ? いったい何の話だろうと一生懸命考えを巡らせるが、納得出来る答えに行き着かない。 「じゃあ、明日」 クエスチョンマークが脳内に飛び交う私などお構いなしに、真次くんはそのまま、きびすを返してすたすた歩いて行ってしまった。 遠ざかっていく背中を呆然と見送る。 「何なのよ、いったい?」 やっぱり変だ、あの人。 これ以上お近付きになるのは、やめておこう。
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