―そこに棲まうモノ―

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一人の部屋は、シーンと静まり返っている。 テレビでも見られれば気も紛れるけど、まだ冷蔵庫以外の電化製品はみんな梱包したままなので、どうしようもない。 「ふう。しゃーない。お風呂にするかぁ」 カップラーメンで簡単な夕飯をすませた私は、ダイニングキッチンにあふれかえった段ボールの群を溜息を付いて見渡すと、部屋から扉一枚ですぐ隣にあるお風呂場に向かった。 ガラリ。 木製の引き戸を開けると、正面に洋式トイレがあり左壁面に洗面台。 トイレは何度か使ったので、これは確認済み。 でも、まだお風呂は見ていない。 右手壁側がお風呂になっていて、曇りガラスの向こうに白い湯船が見える。 カチャリ。 内開きのドアを開けると、目の前に広がるのは真新しいユニットバス。 内部は綺麗に掃除されていて、清潔感があった。
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