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父が救急車で運ばれて三十分後には付き添っている母から、『酷いぎっくり腰で念のため一週間入院』と電話連絡がきていた。
「はい。本当に良かったです」
政志さんの気さくな性格のお陰で、初対面の人間と話すのが苦手な私も、いつの間にか打ち解けていた。
「あ、そう言えば真次は、美鈴さんと同じ高校に通ってるんだよ」
「え? 真次さんも明野高校なんですか!?」
――凄い偶然。
私は、はす向かいに座る真次くんの顔を覗き込んだ。
意外と綺麗な黒い瞳と、視線がかち合う。
でも、「ああ」と頷いて見せただけで、彼は興味がなさそうに天井の方にスッと視線を外してしまった。
それ以上話すそぶりはない。
――無愛想だなぁ……。
同じ兄弟でも、偉い違いだ。
ちょっと棘がある視線に気付いたのか、政志さんが苦笑した。
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