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「じゃ、俺たちは、これで」
しばらく他愛のない話に花を咲かせた後、キリが良いところで政志さんが腰を上げた。
それに次いで、真次くんも立ち上がる。
「あ、今日は、ありがとうございました!」
私はガタンと椅子を鳴らして慌てて立ち上がって、ペコリと頭を下げた。
「どういたしまして。何か困ったことがあったら、家は上の階だから気兼ねなくおいでね。俺は仕事で夜遅くならないと家に帰らないけど、たぶん真次は暇だから」
「あ、兄貴!」
政志さんがニコニコ、含みの有る笑いを浮かべているのに対して、今まで無愛想だった真次くんが表情を動かした。
少し顔を赤くして、怒ったような顔をしている。
――へえ、ムキになったりするんだ。
根暗って訳じゃないのね。
私は、彼の意外な面を発見して、少し嬉しくなった。
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