119人が本棚に入れています
本棚に追加
/37ページ
『何があったの?』
怪訝に見上げる鈴音に、春一は首を振って答えると、
「いえ、雪のせいの停電ですから。誰が悪いわけでもありませんよ」
穏やかに否定する。
そうか、停電があったのか。
鈴音はぐっすりと眠ってしまっていたから、まったく知らない。
途中でトイレにも起きなかった。
すると女将は、
「でもあちらのお客さまも、夕べのことでお礼を申し上げたいと、今朝早くから待っていらしたのですよ」
女将が示す方に目を向ければ、学生らしい若い女性が4人、固まって立っている。
春一を見つめながら、目を見開いて、とても緊張している様子だ。
『春さん、あの人たちに一体、何をしたんだろう』
自分より若くて可愛い華やかな女性の集団に、鈴音の胸がちょっとざわめく。
最初のコメントを投稿しよう!