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お湯の温度に身体が慣れてくると、鈴音は春一の首に回していた腕を解いて、湯の中を泳ぐようにして離れていった。
両手が自由になったのを幸い、春一もお湯から腕を出して、汗で滲む額を髪と共にかきあげる。
「ふぅ」
――いい、気分だ。
すると春一の斜め前に身体をずらした鈴音が、ポカンと口を半開きにしたまま、春一のことを見つめている。
「どうした?」
聞いてみれば、はっとしたような顔をして、視線をそらす。
「?」
そのままうつむいてしまうので、
「すーずね」
呼びながら身体を近づけていった。
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