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さて、部屋に戻ると、鈴音はきちんと整えた布団の中で、ぐっすりと眠ってしまっていた。
まだまだ夜は始まったばかりだというのに、鈴音の寝つきの良さは、中学生の冬依と変わらないくらいだ。
まあ今夜は、無茶をした春一にも原因があるのだが……。
それでも諦めきれずに、
「すーずね」
春一は鈴音の肩に手をかけて揺さぶってみる。
「一緒に酒でも飲もう。雪が降ってきた」
露天風呂の上にヒラヒラとぼたん雪が舞い降りてきた。
鈴音にも教えてやろうと、急いで風呂からあがったのに、一瞬でこんなに熟睡できるものだろうか?
――春一が原因である。
しかし鈴音は、春一が何度揺すっても、
「うー眠いです」
と呻くように言って、目を開けようとしない。
「……」
――キスしたら怒るだろうか、
なんて、よこしまなことを考えてしまう。
もちろん春一が、キスだけで終わらせるわけがない。
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