冬依の中学1年生

10/50
前へ
/50ページ
次へ
少女がひと息つく間も与えず、すぐさま襲いかかってくる二人目三人目の男たち。 だが女の子は、そいつらなどまるっきり目に入っていないかのように、何かを探して地面に視線を這わせている。 男たちに、無防備な背中を向けてしまう。 もちろん、そんな隙を見逃してもらえるわけもなく、男たちは少女の背中に殴りかかっていく。 女の子は、まるで背中に目でもついているように、ひょいっとしゃがんだ。 男の拳は空振り。 女の子がわざわざ屈んで拾い上げたのは、さっき飛ばされた仁依のヘアピンだ。 ヘアピンを拾った少女は、立ち上がりざまにクルリと反転し、続いて拳を振り上げてくる三番目の男の腹を、無造作な仕草で蹴り飛ばす。 男は突進する自分の体重をもろに自腹で受け止めて、 「グエッ」 胃液を吐いた。
/50ページ

最初のコメントを投稿しよう!

117人が本棚に入れています
本棚に追加