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しかしふたりの男と戦っている間に、最初の男が頭を振りながら立ち上がってきた。
二度と油断はしないと、凶悪な勢いで殴り掛かってくる。
少女は少しだけハッとした表情を浮かべ、今度はくるりくるりと回転しながら、男の拳からすばやく身をかわす。
逃げながら、その辺りに置いてあるごみ箱やエアコンの室外機の上に、次々と飛び移った。
もちろん男も後に続こうとするのだが、体重のせいでごみ箱は引っくり返り、エアコンの室外機はベコリと音をたてて変形する。
電飾を灯していた看板が、ガチャンと割れて砕けた。
「このやろう、チョロチョロしやがって!」
激昂して飛びかかる男の前に出ていた膝下を、少女は軽い調子でパンと蹴り飛ばす。
その瞬間、
「ギャァーッ!」
男は、信じられないほどの大きな叫び声をあげた。
仁依が目を凝らせば、男の膝から下のパンツが血だらけだ。
さっき砕けた電飾の破片がパンツの裾に絡みついて、そこをまっすぐに、少女の蹴りが貫いたのだ。
男のスネは、ガラスが刺さって、大変な状態になっている。
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