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足を押さえてうつむき、戦闘意欲を無くした男の側に、少女はスキップする足取りで近づいていく。
少女を見上げる男の瞳が怯えている。
女の子は優雅に男の目の前に立つと、
「生徒手帳――、なんて気の利いたものは持ってないだろうから、なんか身分のわかるもの置いてって」
「……ひっ」
男の唇の間から漏れたのは悲鳴を堪えたような震える声。
少女は、まるで天使と見紛うばかりの完璧な笑みを浮かべて、
「別に警察に連絡しようってわけじゃないよ。ボク自身の身の安全のために知っておきたいだけ。そうだね。もしも今後、ボクを闇討ちしようだなんて考えたら……」
可愛らしく、本当にソフトクリームでもねだっているような表情で言う。
「――次は全力を持って叩き潰すから、覚悟してね」
さっきまでのが全力でないのだとしたら、この子の全力はどこまで行くのだろう。
高校生の男たちは、
「ひぃーっ!」
悲鳴をあげて、四つん這いでその場から逃げ去って行った。
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