冬依の中学1年生

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冬依は、 「あいつら、すぐに商品を返してったでしょう。あれ、黒井さんに万引きするところを、見られてるのわかってて、わざと取ったからだよ」 「?」 首を傾げる仁依に、 「黒井さんが追いかけてきたら、きっとすぐに事務所まで来て謝っただろうね」 すぐ目の前のコンビニに向けて顎を傾ける。 「どういう意味よ、全然わかんない」 冬依は、 「だから、あいつらの目的は店の商品じゃなくって、店長さんにあるってこと」 「!」 問題のコンビニの店長は、つい最近、代わったばかりだ。 それまでのオーナー夫婦が病気と介護で一時休むことになり、代わりに入ったのがオーナーの娘さん。 「え!」 仁依は声をあげる。 「あいつら、店長の気を引きたくて、万引きなんかやらかしてんの?」 開いた口が塞がらない。
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