冬依の中学1年生

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「ねえ黒井さん、ひとつお願いがあるんだけど」 驚く仁依を尻目に冬依が自分の携帯を出してきた。 「この番号に電話して、相手を、そうだな……」 しばらく考える素振りをして、 「この少し先にある公園に呼び出してくれない」 仁依が携帯を受け取ると、そこに表示されているのは『坂田』という苗字。 「これ誰?」 聞けば、 「あいつらの高校の先生」 冬依は答える。 意味がわからなくてぼんやりする仁依に、冬依は楽しそうに笑いながら、 「店長の気を引きたいと思ってるのは、あいつらじゃなくてこっちなの。だけどこいつ、前にストーカー被害で店長から訴えられてるからね。警察から接近禁止命令が出てるんだ。 だから自分とこの生徒を使って、店長さんと連絡つけようとしてるんだよ。生徒が万引きで捕まれば、堂々とお店にも顔を出せるでしょう」 「!」
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