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「ボク、ずっと先生とお話ししてみたかったんです」
近づいていく冬依に、坂田はハッとした顔をする。
いきなりの美少女の登場に驚いたのだろう。
でも冬依の小さな体躯に、
「どこで会ったかな……」
首を傾げる坂田。
冬依は、
「兄の学校見学の時に、一緒に先生の高校にお邪魔したんです。その時に、学校で先生をお見かけして、ボク、一目惚れです」
「!」
こっそりと聞いている仁依まで、飛びあがるほど驚いた。
何を言い出すのだ、冬依は。
坂田は、
「一目惚れだなんて、まいったなー」
などと言いながら、照れたように頭を掻いている。
「気持ちは嬉しいけど、まだキミ中学生だろう。キミがウチの高校に入学した後で、また話したいな」
高校生なら受け入れるってか、この外道!
それにさりげなさを装って、冬依の身体に腕を回している。
肩なんか抱くな、このドスケベ!
仁依は怒りに震え上がるが、冬依は、
「そんな先生。ずいぶん先の話じゃないですか。そんなんじゃボク寂しいです」
坂田をいじらしい瞳で見上げてみせる。
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